①の続きです。
離婚に伴い財産分与した場合、①のような課税関係になります。
しかし、不動産だった場合が、今日のテーマです!
よくあるケースですが、不動産を元夫(または元妻)から元妻(または元夫)に財産分与するケースがあります。
この場合・・・
知らないととんでもないことになるケースがあります
どういうことかと言いますと・・・
離婚に伴って、協議の結果、元夫が、賃貸駐車場の名義を元妻に変更した場合で考えてみましょう。
駐車場は青空駐車場。ただの土地ですが、立地がいいため100%稼働。
それなりに収入になるので、妻の今後の生活のために、と思って名義変更した次第です。
簡単に説明するため、ローンなどのややこしい権利関係や諸経費は一切なしで、会話形式で説明します。
(以下の事例はフィクションです)
ある日突然・・・
元夫のところに、税務署からのお尋ねが来ちゃったのです
譲渡所得(土地建物等を売ったときに発生する所得です)の申告のお尋ねです。
ビックリして問い合わせたところ・・・
税務署から「離婚して土地(駐車場)を元奥さんに渡しましたよね?かくかくしかじかで・・・すでに申告期限後、目安としてこれだけの税金がかかります」と言われ、申告を促されたのです。
駐車場等、賃貸不動産を持っていた元夫。
どうやら、土地の譲渡の申告が漏れていたようです・・・。
元夫は「はぁっ?駐車場の名義を変えただけなのに、なぜ税金かかるの?愛子先生、どうしたらいいんでしょうか・・・」と・・・
愛子先生
「それは・・・・・・
法律では、離婚に伴って、元奥さんに不動産を渡したとき、Aさんが土地を元奥さんに、土地を時価(一般的な売買金額)で売ったことになるのです。
お金の動きはなくても、売ったという取引になるのです・・・。
このような場合、時価から買った時の値段を引いた金額が売却益となって税金がかかります・・・
買った時の値段が分からない場合、時価の5%が買った時の値段となりますので、非常に税負担が大きくなります・・・」
そのアパートは、先祖代々の土地のため、買った時の値段が分かりません・・・
買った時の値段を立証できる根拠がないと、非常に厳しいです。
多額の税金の納税義務者は元夫です。
相続税や贈与税みたいに、連帯納付(本人が払えない場合、財産をあげた人や他の相続人が本人に代わって納税する制度)もないので・・・
不動産を分与された元妻に、半額負担してほしいなどと、請求もできません。。
残念ながら、元夫は納税義務があります・・・
もし駐車場の土地でなく、マイホームだった場合、ケースバイケースですが、
居住用不動産の特別控除(売却益が出ても3000万までは税金がかからない制度)が使えるケースもあったり・・・
事実関係が非常に大事になってきます。
そして、元妻は、
当然ながら、駐車場のオーナーになるので、毎年不動産所得の申告が必要。
健康保険が国保だと、収入によっては、離婚前の保険料より大幅にUPする可能性もありますので、国保のことを忘れずに・・・。
駐車場の土地の所有者となった日に、その時の時価で土地を取得したことになります。
将来、その土地を売った場合は、財産分与を受けた日を基に、長期譲渡(譲渡した年の1月1日において所有期間5年超)になるか?短期譲渡(長期譲渡に該当しないもの)になるかを判定します。
短期譲渡になると税率が高いです。
このように、離婚に伴って不動産を財産分与する場合は、お互いに要注意です!
特に、不動産を渡した方(分与者)は、譲渡所得が発生することもありますので、特に注意ですね。
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