たまには、税金のお話し
長くなるお話し・難しいお話しなので興味のある方だけご覧ください・・・
毎年、毎年、譲渡所得の申告をする機会があります
譲渡所得とは、所得税法上、10種類ある各種所得の1つです。
譲渡所得は、不動産の譲渡、株式の譲渡、不動産や株式以外の譲渡と大別されます。
売掛金等の金銭債権は除かれます。
ここで、マニアックな豆知識
不動産の譲渡といっても・・・
登記簿上、山林(山)は不動産ですが、山林を譲渡しても、所得税法上の譲渡所得になりません!
山林(山)に生えている木を伐採して譲渡したり、木が生えている状態で譲渡した場合の所得区分は、
「山林所得」です。
ただし、山林を取得して5年以内に伐採または譲渡した場合は、山林所得に該当せず、事業所得又は雑所得になります。
話はそれましたが・・・
本日、譲渡所得のうち、土地建物の譲渡のお話しをさせていただきます
土地建物の譲渡所得の計算は・・・
譲渡価額-(取得費+譲渡費用)=譲渡損益に一定の税率をかけて、他の所得と分離して税額を計算します。
所有期間の長短によって、さらに長期譲渡・短期譲渡に区分されます!
譲渡価額は売った値段プラス固定資産税等清算金等と考えて下さい。
取得費は、買った時の値段と考えて下さい。
譲渡費用は、譲渡するために直接かかった費用と考えて下さい。
今回の論点は「取得費」
取得費・・・
先祖代々の土地建物で、いくらで買ったかなんてわからない、契約書なんてないよ!
時には・・・あ~・・・投げちゃった(北海道弁です。標準語は「捨てちゃった」。余談ですが、関西人の私は「ほかしたわ~」と言います)
ってことも多々あります
そうなると、どう計算されるか分かりますか?
取得費不明の場合(売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、 買い入れた時期が古いなどのため取得費がわからない場合)
取得費の額を売った金額の5%相当額とする ことができます
※実際の取得費が売った金額の5%相当額を下回る場合も同様です。
土地建物を3000万円で売った場合に取得費が不明のときは、売った金額の5%相当額である150万円を取得費とすることができます
上記事例の数字で、譲渡費用が50万かかった場合・・・
(取得費が不明じゃなく1000万だった場合と比べましょう!)
譲渡損益は、
取得費1000万の場合、3000万ー(1000万+50万)=1950万。
取得費不明の場合、3000万-(150万+50万)=2800万です。
長期譲渡の場合、今の法律で所得税・復興特別所得税・住民税合わせて20.315%の税率です・・・
(以下、計算は居住用の特例等加味しない一般例で、合計税率・端数処理しない数字で載せています)
取得費1000万なら、396万1425円
取得費不明の場合、568万8200円もかかります
短期譲渡の場合、税率が合わせて39.63%です・・・
取得費1000万なら、772万7850円
取得費不明の場合、なんと1109万6400円ですよ~
長期譲渡・短期譲渡か?
取得費がわかるかわからないか?
でこんなに差があります
悲しいことに、シャレにならない大事態・・・
取得費不明の場合、多くは譲渡価額の5%を買った時の値段と見て、税金の計算をしています・・・
なので、土地等の取得時の資料保管は絶対徹底下さい・・・
購入したら、売るなんて考えていないかもしれませんが、いざという時のために絶対ですよ!!
短期譲渡になったら、本当に本当にえらいことです・・・
売却を視野に入れている場合、絶対に売買代金を受領したら、およその税金相当額のお金をよけて下さい。
ただし・・・
取得費不明でもまだ諦めないで下さい!
建物は、昭和45年以降建築であれば、構造に応じて、建物の標準的価額表をもとに、取得費を算出することも可能です
国土交通省の建築統計年報をもとに算出した数字だそうです。
国税庁HP ご覧ください。
また、不動産鑑定士等の専門家に鑑定を依頼するなど手段はあります。
そして、私、過去、取得費は契約書が見つからない、
頭金を2割出して銀行融資で土地建物を取得している、銀行融資なので当然抵当権が設定されているのが登記簿謄本で明らか、
何とかなりませんか??と相談を受け、客観的に明らかな資料を裏付けて申告したことがあります。
ただし、借入完済のため、抵当権は数年前に抹消されていました。
まずは、もう1度探してもらいますが・・・
そして、家計簿等で、頭金2割出した記録等残っていませんか?
銀行から頭金出金した通帳持っていますか?持っていないなら10年以内なら銀行で出せるかもしれないので、出してもらうことはできますか?
(この方は、10年以上経っていたので、ダメモトで銀行に聞いてもらいましたが、ダメでした・・・)
それでもダメな場合、購入した不動産業者を当たる(古すぎて保管してない場合もありますよ)、司法書士等、関係業者洗いざらい問合せ・・・
もしあったらラッキーだと思って、とにかく当たる!!
それでもダメなら融資を受けた銀行にあるか聞いてみる(こちらも一定期間すぎると破棄されていますが)
当時、その方には、すべてやれることはやっていただきました。
でも、どこにも資料が残っていないと言う状況。
抵当権相当額は最低限の取得費であることは明らか、
あとは、ご本人に取得費5%で申告する場合と抵当権相当額で申告する場合との違いや万一のリスクをご説明しました。
ご本人様直筆で、取得費を明らかにする書類を必死に探したが見つからなかった経緯を説明の上、
抵当権相当額を取得費として申告させていただく旨の書類を、
税務署と私の事務所宛に作成し、署名捺印いただき申告したこともあります・・・
銀行融資がない場合は・・・
ご本人様との綿密な協議により、可能な限り客観性が高い資料の裏付けで、対応することもゼロはありません。
いつもは、アメブロは育児や料理等、軽い話題、
このブログも軽いお仕事の話中心ですが、
本当によくある話、まさにタイムリーな時期、お困りの方がいらっしゃるかと思い、長々と書かせていただきました
読んでいただき、ありがとうございます