債務超過で法人成り?
個人事業者の皆様へ、ぜひお伝えしたいことをもう2点(1点目の記事はこちら)!
以下、自分が役員(社長)に就任する、自分が会社に貸し付けた資金がない、という前提で。
個人事業時代の貸借対照表が債務超過(資産総額が負債総額を上回る状態)の状態で、個人事業を法人成りするのはおすすめできません
債務超過でも、短期間で返済できる状況であれば、許認可等の兼ね合いで早めに法人成りが必要な場合は、この限りではありませんが・・・
なぜかと言いますと、
たとえば、資本金を100万で出資し、個人事業時代の現預金・売掛金・その他固定資産を引継ぎ(500万としましょう)、事業主の銀行借入等を含む負債も(700万)引き継いだとしましょう。
この時点で、試算の部は600万(500万+100万)、負債の部が700万、資本の部が100万、
資産の部=負債・資本の部になりますので、差額の200万は何になるでしょうか?
差額は(役員)貸付金となります。
個人事業として行っていた事業を法人化(法人成りと言います)する際、資産負債の引継をします。
個人から法人へ引き継ぐ資産と負債を総額で売買し、資産負債を相殺できるように調整して、個人事業から法人成りした会社へ「営業譲渡」という形式が一般的です。
個人事業の借入を会社が引き継ぐことになるのです。
ゆえに、法人から個人事業主への役員貸付金とした場合、早急に役員貸付金を回収しないと、会社から個人事業主への利益供与となり、貸付金の利息を計上する必要性が生じます。
そして、会社設立時点で役員貸付金があると、金融機関からの印象は悪くなり、法人で融資(借換を含む)は厳しくなります。
融資を受ける前に返済する必要があったり(返済できる個人資産があればいいのですが・・・、返済できる状態であれば、そもそも、このような状態にならないはずですので)、借換ができなかった場合、法人成り後の財務内容が悪ければ資金がショート(倒産)することも最悪、起こりうることです。
もう1点、個人事業時代の生活費をきちんと把握してください!
法人成りしたら、生活費は定額(役員報酬としていただくことになります)になるため、毎月の生活費プラスアルファの金額を役員報酬と設定するのが望ましいです。
なぜなら、生活費よりも少ない金額を役員報酬としたら、役員報酬では生活費が不足し、会社のお金を追加で引出して生活することになるからです。(=役員貸付金が発生する)
以上、法人設立をご検討の個人事業者の皆様、来年から消費税の課税事業者になるので法人成りを考えているというケースもありますし、法人成りのタイミングは個人事業時代の所得税率との兼ね合いも大事ですが、財務内容や拠出できる資本金等も同じくらい大事です
個人的には、税率や損益分岐点ももちろんですが、財務内容を重視してアドバイスするかな?
債務超過が抜けた状態で、法人成りを検討する選択肢の方が望ましいケースもありますので、お悩みの方は、お問い合わせください
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この記事を書いた人
愛子先生
札幌市で4児のママ税理士として、愛子税理士事務所を経営しています。法人・個人事業者の顧問はもちろん、相続税をはじめ資産税もオールマイティーに対応しています!