2020.02.18税金

建て替えの場合の住宅ローン控除

私の事例でもあります。

先月末、無事自分の確定申告が完了しました。

元夫と共有で中古住宅を購入して住宅ローン控除を適用し、離婚後、銀行の審査を無事通過して、財産分与として免責的債務引き受けにより私単独債務になりました。

このようなレアなケースのため、財産分与前の自分の持ち分、財産分与によって承継した持ち分及び債務(こちらも10年控除できるので、最初の自分の持ち分より長くローン控除できます)、2以上の年にわたる住宅ローンを有するため、手書きで住宅ローン控除の計算明細書を作成していた次第ですcoldsweats01

昨年、その住宅を取り壊して9月に新築しました。

旧家屋の住宅ローン残債(建物部分の返済は終わっていた計算で、土地の購入金額の残債が残っている形)は4月解体前に繰上返済して、残債を借換。

プラス9月に新築した家屋について住宅ローンを組みました。

ローン契約は2本あります。

ここで問題です。

以前からの住宅ローン(銀行から住宅借入金残高証明が発行されています)=土地部分のローンは令和元年分の住宅ローン控除適用できるでしょうか?

 

正解はNO!

 

残念ながら、こちらは対象外。家屋のローンだけ控除対象となります。

家屋の取得と「ともにするその家屋の敷地の購入」じゃないとNGですdanger

わかっていたけど、土地の部分のローン控除が受けられないのは悲しいな・・・

頑張って繰上返済しますbearing

 

以下、参考までにその理由を解説します。

なかなかマニアックな事例ですが、中古住宅を住宅ローン組んで購入した後に、建て替えして建物に関しても住宅ローンを組まれる方、注意ですよ。

 

 

(消費税率8%を前提)

 

租税特別措置法第41条第1項では、居住者が、国内において、居住用家屋の新築等若しくは既存住宅の取得又は増改築等をして、これらの家屋をその者の居住の用に供した場合において、その者がその居住用家屋の取得等に係る借入金等の金額を有するときは、その居住の用に供した日の属する年以後10年間の各年のうち、その者のその年分の所得税に係るその年の合計所得金額が3,000万円以下である年については、その年分の所得税の額から、住宅ローン控除額を控除すると規定されており、また、その適用は、居住日以後その年の12月31日(その者の死亡又は家屋の災害により居住の用に供することができなくなった場合にはその日)まで引き続きその居住の用に供している年に限るとされています。


 この点、旧家屋の場合は、取り壊して新築住宅に建て替えたということなので、上記かっこ書の事由には該当しないため、旧家屋を取り壊した年の12月31日まで引き続き居住の用に供していなければならないことになりますが、取壊しによって現存しない旧家屋に引き続き居住するということは物理的に有り得ませんのでcoldsweats01

当該旧家屋については、同年12月31日まで引き続き居住の用に供されていないということになります。


 したがって、旧家屋について、令和元年分以後の住宅ローン控除の適用を受けることはできないのです。


 また、住宅ローン控除の対象となる借入金等には、家屋の新築又は購入と「ともにするその家屋の敷地の購入」に要する資金に充てるための借入金等も含むとされていますので(措法41条1項1号、措令26条8項1号)、土地等の取得に係る借入金等が住宅ローン控除の適用対象となるためには、その前提として、当該土地等の上に建築されている家屋が居住の用に供されていなければならず、当該家屋を取り壊すなどして居住の用に供されなくなった場合には、その敷地の取得に係る借入金等も住宅ローン控除の適用対象とはならなくなります。


 つまりは、旧家屋とともに購入された本件土地については、上記1のとおり、旧家屋が取り壊されるとともに居住の用には供されていないことになるため、本件土地に係る住宅ローン控除は、令和元年分以後、適用を受けることができないのです。


特例として、新築をした居住用家屋の敷地の用に供する土地をその新築の日前2年以内に取得した場合において、その土地の取得に要する資金に充てるための一定の要件を満たす借入金を有する場合にも、住宅ローン控除の適用が認められることになりますが(租税特別措置法施行令第26条第8項第6号)、私の場合、本件土地を取得したのが平成29年9月、本件土地上に住宅を新築して居住を開始したのが令和元年9月ということであれば、上記「新築住宅の建築の日前2年以内に敷地を取得した」ことにはなりますが・・・

そもそも住宅ローン控除の対象となる土地に係る借入金等とは、上記のとおり、家屋の新築又は購入と「ともにするその家屋の敷地の購入」に要する資金に充てるための借入金等とされており、本件土地も旧家屋とともに取得されたものとして住宅ローン控除の適用を受けていたものなので、これが新築住宅の敷地として新築住宅とともに取得されたものでないことは明らかです。
 そうしますと、本件土地について、その取得後2年以内に住宅が新築されたことをもって、租税特別措置法施行令第26条第8項第6号を適用し、新築住宅の敷地として引き続き住宅ローン控除の適用を受けることはできないのです。


したがって、旧家屋及び本件土地については、令和元年分以後の住宅ローン控除の適用を受けることはできませんが、新築住宅については、一定の住宅ローン控除の適用要件を満たしているものであれば、その取得に要した借入金について、居住を開始した令和元年分以後の10年間、引き続き居住の用に供している年に限り住宅ローン控除の適用を受けることができます。


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この記事を書いた人

愛子先生

愛子先生

札幌市で4児のママ税理士として、愛子税理士事務所を経営しています。法人・個人事業者の顧問はもちろん、相続税をはじめ資産税もオールマイティーに対応しています!

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